中弁連の意見
中国地方弁護士会連合会は、国会に対し、2013年(平成25年)4月19日に閣議決定され国会に提出された「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」案を、下記の各点について是正した上で、早期に成立させることを求める。
記
- 適用対象となる案件を、法律施行後に契約が締結された案件に限定しない。
- 特定適格消費者団体の認定に当たって、特定適格消費者団体を各地に存在させるべきとの観点から経理的基礎の要件認定を緩和すべきことを明文に追記するとともに、制度を実効性あらしめるために、特定適格消費者団体はもちろん適格消費者団体に対する財政面も含めた積極的な支援を行う。
- 共通義務確認訴訟における和解において、訴えの目的となった共通義務の存否についてだけではなく、事件の特性に応じて、事業者に対して金銭の支払いを求めること以外の内容であっても和解ができる旨の明文を追記する。
- 簡易確定手続における対象消費者への通知または公告に要する費用については、原則として事業者の負担とする。
- 相手方事業者が、簡易確定手続における対象消費者への通知に必要な対象消費者の住所・氏名などの情報開示命令に応じない場合の制裁を、過料よりも強化する。
- 附則第3条の本件法案の施行後5年経過時において検討されるべき事項として、共通義務確認の訴えの対象としうる請求権の種類を拡大することや、特定適格消費者団体以外にも手続追行主体を拡大することなどを例示する。
以上のとおり決議する。
2013年(平成25年)10月11日
中国地方弁護士大会
提案理由
1 立法事実
全国の消費生活相談の件数は、2012年度(平成24年度)で約85万件であり依然として高い水準が続いている(独立行政法人国民生活センター「2012年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要」)。中国地方においても、2011年度(平成23年度)で約4万8000件の消費生活相談が寄せられている(広島県消費生活課「平成24年度 県民生活に関する相談状況について」、岡山県消費生活センター「消費生活センター事業実績の概要」、山口県消費生活センター「平成24年度 消費生活相談状況」、島根県消費者センター「平成24年度 消費生活相談の概要」、鳥取県消費生活センター「消費者行政のしおり(平成24年度版)」)。
一方、現在の訴訟制度の利用には相応の費用・労力を要することから、事業者に比べ情報力・交渉力で劣る消費者は、被害回復のための行動を起こすことが困難である。また、これまでの消費者団体訴訟制度では、適格消費者団体が、不当約款差止請求訴訟などを提起しうる権限は有しているものの、損害賠償請求訴訟を提起しうる権限は有していないため、既に損害を被った消費者を直接的には救済することができないという課題がある。
2 議論の経過
そこで消費者のための新たな訴訟制度の案が、2011年(平成23年)8月に消費者委員会集団的消費者被害救済制度専門調査会において報告書に取りまとめられた。そして、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」案(以下「本件法案」という。)が2013年(平成25年)4月19日に閣議決定されて、第183回国会に提出された。しかし、本件法案は、同回国会においては閉会中審査とされ、現在に至るも成立していない。
3 制度の概要
本件法案にかかる制度は、内閣総理大臣が特定適格消費者団体を認定し、集団的消費者被害事件が発生したときには、特定適格消費者団体が共通義務確認の訴えを提起する。この共通義務確認の訴えが認容されたら、特定適格消費者団体が簡易確定手続開始申立をする。簡易確定手続が開始されたら、特定適格消費者団体が、対象消費者に対して、被害回復裁判手続の通知をする。そして、特定適格消費者団体が対象消費者の授権を得て、対象債権の届出を行い、届出債権が確定すると確定判決と同一の効力を有するというものである。このようにして、特定適格消費者団体が相手方事業者から損害賠償金などの支払いを受け、これを対象消費者に配分することで被害回復がなされる。
4 制度による被害回復の促進
消費者事件は、1件1件の被害額が数千円ないし数万円である事件が多い。このような事件において、個々の消費者は、弁護士に訴訟追行を依頼すると費用が嵩むうえ、敗訴のリスクがあるという問題点に悩み、被害回復を求めることに躊躇する傾向がある。こういった消費者事件の中には、同種事件が多発するために、被害総額は多額に上る事件が散見され、もはや消費者問題は社会全体における大きな問題というべきであるが、個々の被害者はやはり上記問題点から被害回復を求めることに躊躇する傾向がある。
たとえば、広島県内の県及び市町で受けた消費生活相談のうち、被害額が把握されてPIO-NETに登録された相談件数は、平成24年度で3717件であったが、このうち被害額が10万円未満の相談が2069件(全体の55.7%)、被害額が10万円以上50万円未満の相談が860件(全体の23.1%。被害額10万円未満の相談も含めると全体の78.8%)であった。この相談事件のすべてが同種被害の多発している事件であるとは限らないものの、消費者相談においては、被害額が10万円未満の事件、すなわち訴訟追行を依頼することには躊躇しがちな事件の割合が高いことが顕著に表れている。
このような、いわば泣き寝入りを容認することは、法秩序としてあるべき姿ではない。本件法案にかかる制度が制定されれば、個別の被害者は、共通義務確認の訴えが認容された後に手続参加が可能であり、被害回復を求める際の問題点の一つが解消される。その上、簡易確定手続について特定適格消費者団体に授権をすればよいため、被害者一人当たりの負担が減少する。
また、消費者事件においては、自己が消費者被害に遭ったと気付かない被害者や、被害回復を求めるためにどのような行動をとればよいかが分からないために、被害回復に向けて動き出せない被害者が存在する傾向がある。しかし、本件法案にかかる制度が制定されれば、被害者は、共通義務確認の訴えが認容された後に、特定適格消費者団体から通知を受けることができるため、被害者が被害回復に向けて行動を起こしやすくなることが期待される。
加えて、従来であれば、適格消費者団体が不当約款の差止を行っても、過去に不当約款の適用を受けて被害に遭った被害者は、別途被害回復を求める必要があり、この意味で、適格消費者団体の活動が直ちには被害回復に結びつかなかった。しかし、本件法案にかかる制度が制定されれば、特定適格消費者団体が被害救済にまで関与することができ、一貫した紛争解決を行うことができる。
よって、本件法案にかかる制度は消費者被害救済を促進するために必要な制度であり、この制度の創設は国民生活の保護及び法秩序の維持にとって非常に大きな意義を有するものである。
5 反対意見に正当な理由はない
これに対して、濫訴を招く(認容される可能性のない訴訟が不当な目的で提起される)、対象消費者の授権がないまま訴訟が提起される、訴訟件数が増加して経済にマイナスの影響を及ぼすおそれがあるなどの理由から、本件法案に反対する意見も見られる。
しかし、濫訴を招くとの意見は、本件法案に反対すべき正当な理由とはならない。なぜなら、本件法案にかかる制度においては、手続追行主体が内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体に限られ(第3条第1項、第65条)、訴訟追行も弁護士が行うことが義務付けられている(第77条)。そして、本件法案は、特定適格消費者団体が不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えを提起することなどを禁止しており(第75条第2項)、この義務に違反すると、特定適格消費者団体は改善命令を受け(第85条第2項)、あるいは特定認定の取消を受けることがある(第86条)。加えて、共通義務確認の訴えを提起するときには、これを他の特定適格消費者団体に通知するとともに内閣総理大臣に報告することが定められており(第78条)、共通義務確認訴訟の判決は、他の特定適格消費者団体に対しても効力が及ぶ(第9条)。実際上も、特定適格消費者団体が、経済的および人的負担を度外視して、敗訴すると分かっている訴訟を提起することなど考えられない。
対象消費者の授権なく訴訟が提起されるとの意見も、本件法案に反対すべき正当な理由とはならない。なぜなら、商品やサービスに瑕疵などの問題があれば、通常、消費者はその問題解決を希望するのであり、このような問題解決を求めて特定適格消費者団体が訴訟を提起することは、通常は消費者の意向に反することがないからである。実際、消費者事件に関する法律相談の現場では、消費者が瑕疵などの問題の解決を求めたいとの気持ちを示しつつも、被害額と訴訟追行費用との費用対効果から断念する事例が多くみられる。
また、本件法案の成立が、訴訟件数を増加させて経済にマイナスの影響を与えるおそれがあるとの意見も、本件法案に反対すべき正当な理由とはならない。なぜなら、被害者が被害回復を求めて訴訟を追行することは正当な権利の行使である。そして、本件法案にかかる制度は正当な権利を行使しやすくするための制度である。このような制度が経済にマイナスの影響を与えるとの意見は、正当な権利行使が封じられた状態(いわゆる「泣き寝入り」)の上に経済が成り立っているとの意見に他ならないものであり、健全な経済を支持する意見とはいえない。むしろ、本件法案にかかる制度は、不適切な商品やサービスの淘汰を進め、健全な経済発展に寄与するものである。加えて、この制度により一つの訴訟において紛争が解決されることが、多数の同種裁判が各地で提起されることに比べ、紛争の一回的解決につながり経済的である。
6 本件法案の是正すべき点
(1)適用対象案件の時的範囲
本件法案は、法律施行前に締結された消費者契約に関する請求権などについては適用されないものとしている(附則第2条)。これは、本件法案が法律施行前に締結された消費者契約に適用されれば企業の予測可能性を害するとの主張に配慮されたものである。
しかし、このような時的制限が課されれば、企業が多数の消費者との間で継続的に契約を締結していたところ、その契約締結が法律施行前に行われたものと法律施行後に行われたものとが存在する事件が生じた場合、同一事件につき本件法案が適用される対象消費者と適用されない対象消費者を生じさせることになる。かかる区別をすることに何ら合理的な根拠はないばかりか、却って紛争解決を錯雑なものにさせるおそれがある。
また、本件法案は、実体法上の権利に変更を加えるものではなく、その権利の行使方法を訴訟法として定めるものである。したがって、本件法案が法律施行前に締結された消費者契約に適用されても、企業の実体法上の義務を加重することにはならない。そして、商品やサービスに問題があればこの問題を解決することは健全な企業であれば当然に行うべきことであり、このような問題解決を行う方法を本件法案によって訴訟法として定めたとしても、企業の予測可能性を害することもない。
よって、本件法案を、法律施行前に締結された消費者契約にも適用するよう是正されるべきである。
(2)特定適格消費者団体の配置と支援
本件法案において特定適格消費者団体は、適格消費者団体(消費者契約法第2条第4項、第13条)が内閣総理大臣の特定認定を受けることで、集団的消費者の被害回復業務を担うことができると定められている(本件法案第65条)。
まず、適格消費者団体の認定は、当該団体が消費者被害救済などの活動を継続的に行っていること、差止請求関係業務を行う体制が整備されていること、差止請求関係業務を適正に遂行するに足る経理的基礎を有していることなどを要件として内閣総理大臣から認定を受ける(消費者契約法第13条など)。この認定を受けた適格消費者団体は、事業者を被告とする不当約款差止請求訴訟などを提起することができる。
次に、特定適格消費者団体となるための本件法案第65条における特定認定は、上記のような適格消費者団体がさらに、差止請求関係業務を相当期間継続して適正に行っていること、被害回復関係業務を行うための体制が整備されていること、理事の1人以上が弁護士であること、被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有することなどを要件として認定される。
現在、適格消費者団体は、北海道に1団体、関東地方に3団体、中部地方に1団体、関西地方に3団体、中国地方に1団体、九州地方に2団体存在しているが、東北地方及び四国地方には存在していない。消費者保護のために積極的に活動している団体は、東北地方及び四国地方を含めて全国各地に存在しているものの、適格消費者団体認定要件のうち経理的基礎(すなわち財政基盤)の要件の認定が厳しく、消費者保護のために積極的に活動している団体であっても適格消費者団体の認定を受けることが困難であるとの事情が影響して、このような状況となっている。
しかし、本件法案が成立しても、この制度が利用されなければ、期待された救済はなしえない。そして、消費者被害事件は全国どこでも発生しうるため、地方の消費者が特定適格消費者団体を利用する便のためには、特定適格消費者団体は全国各地に存在すべきである。
そうすると、内閣総理大臣が特定適格消費者団体を認定するに当たっては、消費者の利用の便のために特定適格消費者団体が各地に配置されるよう地理的要因を考慮すべきであるが、これを可能とするためには本件法案中にその根拠条文が定められる必要となる。
よって、たとえば、経理的基礎に関する要件の解釈に当たっては、特定認定を申請した適格消費者団体が所在する地方の実情に照らして過度に厳格な解釈がなされてはならないと定めるなど、内閣総理大臣が特定適格消費者団体を認定するに当たって、経理的基礎に関する要件の認定を緩和すべきことを、本件法案の明文に追記するよう是正すべきである。
併せて、多発する同種消費者事件の被害回復を図ることは、広く国民生活の保護と法秩序の維持という公的な役割を担う一面を有することから、特定適格消費者団体(及び適格消費者団体)が十分に活動でき、制度を実効あらしめるため、国は特定適格消費者団体などに対する財政面も含めた積極的な支援を行うべきである。
(3)和解内容の柔軟化
本件法案では、集団的消費者被害回復制度で請求しうるのは、事業者が消費者に対して負う金銭の支払い義務であって、①契約上の債務の履行の請求、②不当利得にかかる請求、③契約上の債務の不履行による損害賠償の請求、④瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求、⑤不法行為に基づく損害賠償の請求に限定され、拡大損害などの請求はできないものとされている(本件法案第3条)。そして、特定適格消費者団体は、共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟の目的である義務の存否について和解をすることができるとのみ定められている(第10条)。
そのため、特定適格消費者団体は、共通義務確認訴訟において、これらの金銭支払義務を定める以外の内容で和解をすることができないと解されるおそれがある。
しかし、たとえば事業者が対象消費者に対して、係争商品の代替品を給付する方が、係争商品の代金を返還するよりも、実質的な消費者被害救済につながることがありえる。また、継続的な取引においては、事業者が対象消費者に対して、代金の一部を返還するよりも、将来の取引において割引を提供する方が、消費者にとって簡便で被害救済を受けやすいということがありうる。このような紛争解決方法の道を閉ざせば、消費者被害救済として不十分な制度となるおそれがある。
そこで、共通義務確認訴訟における和解において、訴えの目的となった共通義務の存否についてだけではなく、事件の特性に応じて、事業者に対して金銭の支払いを求めること以外の内容であっても和解ができることを、本件法案の明文に追記するよう是正すべきである。
(4)通知・公告費用の事業者負担
本件法案では、簡易確定手続における対象消費者への通知又は公告に要する費用につき、簡易確定手続を申し立てた特定適格消費者団体が負担するものとしている。
しかし、通知・公告費用を申立特定適格消費者団体が負担することになると、制度運用上、相手方事業者から得られた損害賠償金から共益費として通知・公告費用を控除せざるをえないことから、終局的には通知・公告費用が対象消費者の負担となる。そうすると、消費者被害救済が十分にはなしえない。特に、消費者1人あたりの被害額が少額な場合は、被害救済という制度目的を大きく損なうことになりかねない。
また、簡易確定手続に移行した段階においては、相手方事業者に一定の金銭支払義務のあることが共通義務確認判決によって確認されている。このことは、相手方事業者が、紛争の原因を作出し、集団的消費者被害救済手続遂行の必要性を作出したことが判決で確認されているといえる。このような相手方事業者に通知・公告費用を負担させることは、常識にかなった紛争解決制度であるし、現在訴訟において行われている訴訟費用(印紙代・送達費用など)の負担決定とも整合する方法である。
よって、簡易確定手続における対象消費者への通知又は公告に要する費用については、原則として事業者が負担するよう是正すべきである。
(5)情報開示命令の実効性確保
本件法案では、相手方事業者が簡易確定手続における対象消費者への通知に必要な対象消費者の住所・氏名などの情報開示命令に応じない場合の制裁を過料としている(第29条第9項)。しかし、過料のみの制裁であれば、共通義務確認訴訟に敗訴した事業者が、支払義務の負担を免れるために、過料を支払ってでも対象消費者の住所・氏名などの情報開示に応じないおそれがある。
そこで、開示命令の実効性確保のために、さらに制裁を強化すべきである。その方法としては、たとえば、裁判所の開示命令に違反した期間に応じて金銭を支払わせる間接強制類似の制度を設ける方法、及び申立特定適格消費者団体が相手方事業者の費用負担で個別通知に代わり得る公告(広告)を行う方法が考えられる。
なお、上記個別の通知に代わり得る方法による公告(広告)としては新聞広告ないしテレビコマーシャルなどの方法が考えられる。そして、このような方法をとる場合には、公告(広告)に要する費用をあらかじめ相手方事業者から申立特定適格消費者団体に対して支払わせることが必要である。なぜなら、対象消費者への通知に当たっては、本来、相手方事業者が対象消費者の住所・氏名などを開示すべきであるし、上記(4)のとおり、本来、対象消費者への通知費用を相手方事業者が負担すべきであるところ、これが実施されない場合の制裁として上記公告(広告)を行う以上、その費用は相手方事業者が負担すべきである。そして、もし申立特定適格消費者団体が予めこの公告(広告)費用を負担し、公告(広告)後に相手方事業者がこの公告(広告)費用を精算するという制度にしたならば、事案によっては、申立特定適格消費者団体の財政上、予め費用を負担することが困難なため公告(広告)することができない場合も起こりうる。したがって、この費用は公告(広告)後に精算するのではなく、予め相手方事業者から申立適格消費者団体に支払わせることが必要である。
このように、相手方事業者が裁判所の情報開示命令に従わなかったときの制裁を是正すべきである。
(6)5年経過時の検討事項
本件法案附則第3条において、政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものと定めている。
本件法案においては、上記(3)のとおり共通義務確認の訴えの対象としうる請求権の種類が限定されており、消費者事件の被害全体を捕捉することができないおそれがある。
また、上記(2)のとおり特定適格消費者団体の認定要件が厳格に過ぎると、消費者にとって必要なだけの特定適格消費者団体を設立することができなくなるおそれがある。本制度の在り方を巡る議論において、これまで消費者被害救済を担ってきた弁護団や被害者団体を集団的消費者被害回復手続の追行主体とすること自体が理念として否定されたわけではなく、時間的な制約からその要件を詰め切れなかったものと理解している。このような実績と経験を有する者も手続追行主体とすることによって、より集団的消費者被害回復制度が活発に利用され、消費者被害の救済が実効性あるものになる。このことを踏まえ、今後も、手続追行主体の具体的要件、認定手続などにつき、引き続き検討されるべきである。
そこで、本件法案附則第3条に、施行後5年経過時において検討されるべき事項の例示として、共通義務確認の訴えの対象としうる請求権の種類を拡大することや、特定適格消費者団体以外にも手続追行主体を拡大することなどを記載するよう、是正すべきである。
7 結語
よって、消費者被害回復を促進し、あるべき法秩序の維持に寄与せしめるため、上記各点を是正のうえ、本件法案の早期成立を求める。
以上